こころ@WOWOW

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WOWOW市川崑監督を偲ぶ10の映画という特集が今月ある。夏目漱石の「こころ」が映画化されているのを知らなかったので見てみる。市川崑というと横溝正史金田一耕介シリーズが有名だが、こういう地味な作品を作っていたのは意外だった。

先生役の森雅之は他の作品でも見たことあったと思うが、重厚な演技で役にあっている。奥さん役の新珠三千代は名前は聞いたことあったが、あまり演技を見たことなかった。お嬢さん時代は少々きつかったが、演技はよいと思う。梶(原作ではK)役の三橋達也がすばらしくよい。厭世的な雰囲気と、旅の最中に日蓮宗の坊主に食ってかかる生真面目さと繊細的なもろさを持った青年像がよく出ている。

原作の「こころ」はおそらく実家にあると思うので、この夏に読み返したい。だいぶん昔に読んだので、原作の記憶がなく、気になったシーン。

  • 明治天皇の御大葬の日の乃木大将の殉死を知り、先生が「殉死だ、殉死だ」と連呼しながら家に帰るシーン

昭和天皇崩御の時に殉死した人がいたか知らないが、当時50代ぐらいの上司の送別会を計画したら、ちょうどその時に昭和が終わってしまい、幹事だった俺は嫌がる上司を無理矢理説得して、強引に送別会を実施した思い出がある。今から思うと、何て他人に対する思いやりがないやつだったんだと自己嫌悪に陥る。

  • 父危篤で帰省中の日置(原作の私)が先生からの手紙を受け取り、医者に何日か父を持たせてくれと嘆願して、汽車に乗るシーン

父の状態が気になりながら、先生への心配のあまり黙って田舎を後にする日置の気持ちがよくわかり、胸が痛む。自分も家族の危篤で帰省したが、状態が持ち直したので、仕事が気になり一旦戻ってしまったことがあった。