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妖魔の森の家 (創元推理文庫―カー短編全集 2 (118‐2))
- 作者: ジョン・ディクスン・カー,宇野利泰
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1970/12/11
- メディア: 文庫
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毛色を変えてカー短編集。
表題作はエラリー・クイーンがEQMMで絶賛したので、すこぶる評判がよい。確かに、カーの特徴である密室不可能事件とHM卿による鮮やかな解決が凝縮されており、短編としては無駄がなく称賛される理由もわかる。しかし、長編によくあるカー独特のオカルト趣味などの飾りつけや一見無意味とも思われる冗長の流れによってミスディレクションとなるのが、ある意味カーの魅力と思っているので、謎解きへ至るまでの道のりが性急すぎて、「えっ!これで終わり」と拍子抜けしてしまった。期待が大きすぎたのも原因だと思うが。
- 軽率だった夜盗
この短編を膨らませた長編の完全版が出ているらしい。あまり評判よくないし、トリックもたいしたことないので、当面読むつもりないが。後半にフェル博士が出るが、謎解きするだけの存在。
- ある密室
あいもかわらず密室の不可能犯罪。これもフェル博士物。カー作品には魅力的なイギリス人女性が多い。
- 赤いカツラの手がかり
短編によくあるメロドラマな展開だが、たまにはこういうのも。
- 第三の銃弾
フェル博士でもHM卿でもない、マーキス大佐が探偵役。中編ともいえる長さ。
どうやったらこんな面白いシチュエーションを考えられるんだろう?普通ならあり得ない不可能状況を考えてから、たぶん後付けでトリックを考えるんだろうけど。最後のメタミステリっぽい発言はよけいだったかな。
実はこの作品は本来は長編だったのを、エラリー・クイーンが編集して短くしたらしい。長編のオリジナル版があるのを後から知ったので、今すぐには読む気にはならない。忘れた頃に読むかもしれないが。