鯨統一郎フェア

別に連続して読んだわけでもないし、フェアでもなんでもないが、読んだ時の覚書。

遠野を舞台にしたシリアスミステリ。悪くはないが、柳田国男とか期待すると外す。
歴史に対する深い掘り下げはほとんどない。暇つぶしにはよいが。

タイムスリップ水戸黄門 (講談社ノベルス)

タイムスリップ水戸黄門 (講談社ノベルス)

このシリーズはストーリーも設定もはちゃめちゃだが、これはひどい
本物の水戸黄門がタイムマシンに乗って、現代に来て、道路建設でゼネコンと癒着する政治家たちをたしなめるとかそういう内容。女子高生の登場キャラ設定もなんかいいかげんになってきた。ラストのまとめ方もシリーズ中、最もいいかげんだし、全然すっきりしない。鯨氏の最近の作品は乱作のせいか質も低下したし、面白くなくなってきたので、これから全作品買うのは控えることにする。買いだめしているのがまだ何冊か残っているし、創元推理の邪馬台国シリーズが出たら読むが。

浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話 (カッパノベルス)

浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話 (カッパノベルス)

全般的に鯨氏の作品は短編がアタリ、長編がハズレの傾向があるが、日本酒バーを舞台とした短編ミステリで「アタリ」に相当する作品。「九つの殺人メルヘン」に続く、桜川東子シリーズの続編。東子はキャラクターとして別作品に登場したこともあるが、やはりバーを舞台にした設定の方があっている。中年トリオの会話が面白いし。

昔のテレビ番組について、盛り上がる中年トリオは俺の世代よりも少し上という感じで、わからない話もあるが、共感できる部分も多い。浦島太郎とかの昔話を現実的に当時の社会から解釈するのは、鯨氏の得意分野でさすがに面白い。逆に事件の解決に結びつけるのは強引であまり説得力がない。心のアリバイというキーワードもあまりしっくりこなかった。前回のオチがあれだったが、今回は少し肩透かしをくらった感じ。

なみだシリーズ第三弾。「邪馬台国はどこですか?」のシリーズを除くと、鯨氏の作品では珠玉のシリーズだと思う。

現代の教育の問題をさりげなく見せて、それを解決にもってくる。オチはかなり強引だけど、とぼけた波田のキャラクターがよいし、読んでいて気分がよくなる。