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黄色い部屋の謎 (創元推理文庫 108-1)

黄色い部屋の謎 (創元推理文庫 108-1)

ミステリの古典中の古典。1907年の作品だから、100年以上も前に書かれた作品。解説が中島河太郎で、解説を書いたのですら、50年前というのが時代を感じさせる。

小学生の頃に読んだので、ガストン・ルルーといえば、俺の中ではこの作品しかない。トリックを忘れてから再読しようと記憶を消去していたが、文庫本を買ってからもさらに5年ぐらい積読されていた。さすがに30年以上も経つと、細部はもちろんトリックや犯人等全て忘れている。

探偵役のルールタビーユの名前こそ覚えていたが、18歳という年齢に驚く。これだけ覚えてないということは、もしかしたらジュブナイルを読んでいたのかも。

密室トリックや犯人消失トリックは、後世のミステリ作家の模倣も多いので、解決編を読んで、ああやっぱりそうだったかとわかったが、読んでいる最中はあえて推理してなかったので、楽しんで読めた。

しかし、仏作家はやたら米英の作家をライバル意識しているのが、仏人らしい。ポオやドイルの密室トリックは確かに子供騙し的なところがある。ルブランの事には全く触れてないが、子供の頃は、むしろドイルよりもモーリス・ルブランの方が好きだったので、ルルーがどこまで意識していたのか気になるところ。中島河太郎によると、「黄色い部屋の謎」の続編である「黒衣夫人の香り」は駄作らしいので、あまり読む気がしない。ルールタビーユの出生の秘密は最後に匂わせているので、読まないでもだいたい内容はわかってしまうし。