最近読んだ本

カーター・ディクソン名義の第一作目。まだ、HM卿は創造されていなく、ジョン・ゴーント卿が探偵役。中世の甲冑をコレクションとしている城が舞台で、日本の小説にも似たような話があったと思ったが、思い出せない。

城の部屋の配置図がないのは近年の推理小説に慣れているせいか、不親切に感じてしまう。自分で描けばいいんだけど、読書のためにそこまでする気はない。家庭用ゲーム機のRPGのオートマップ機能に慣れた軟弱ゲーマーのようなものか。

魔女の隠れ家 (創元推理文庫 118-16)

魔女の隠れ家 (創元推理文庫 118-16)

タイトルは物語に出てくる建物の呼称であって、「火刑法廷」のような中世魔女的エピソードが出てくるわけではない。昔の魔女っ子アニメや宮崎の某アニメのイメージのせいか、日本語で魔女と書かれても欧米人ほど恐ろしさは感じない。「奥様は魔女」というのもあったけど。

フェル博士初登場作品。珍しく奥さんも出てくる。「帽子収集狂事件」や「三つの棺」でも登場するランポール君が主人公。カーの作品は前作の登場人物を脇役に置くことが多いので、犯人探しをメインとしたい読者は、発表順に読むことが望ましい。「弓弦城〜」にも「赤後家の殺人」の登場人物が出てくる。

昔監獄に使われていた建物を相続する長兄は、首の骨を折って死ぬという伝説。ランポールがアンソニー長官の日記を読むところなど、不気味さを感じられる。怪奇伝説が現実の殺人事件の装飾をするところなど、「プレーグコートの殺人」に近いものがある。というか、こちらの手法が先。

フェル博士の名前の由来はマザーグースからと解説に書いてあった。