竹本健治

だいぶ前に読み終わったが、書くタイミングを逃していた。

25年前の作品だが、復刻して初めて読む。
普段は鯨統一郎とか軽い本を読んでいるので、たまに竹本作品を読むとやたら重くて、なかなか先に進まない。途中で「幻の湖」を割り込んで読んだせいもあるが、読み終わるのに1ヶ月以上かかった。

冒頭固有名詞がない一人称の恐怖体験話が連続して、「幻想ミッドナイト」みたいな作りのホラー短編作品集で、延々これが続くのかと思って不安だったが、途中から時系列の話が始まってほっとした。ミステリーでは、よく読者を騙すため、人物設定を隠して、時間や場面を入れ子にした話をつぎはぎで入れる作品がたまにあるが、俺はそういうのが苦手。

基本は恐怖館もので、筆者の言葉に江戸川乱歩好きがどうというのがあるが、どちらかというと黒死館(読むのは断念したので実際はよくわからんが)とかドグラマグラに近いかも。

雰囲気は初期の竹本作品だけに中井英夫の影響が感じられる。

面白いかと聞かれると微妙だが、初期作品の中ではよい部類だと思う。