バロネス・オルツィ「隅の老人の事件簿」

http://d.hatena.ne.jp/altern8/20050604で解説で紹介されていたと書いたけど、気になったので、読んでみた。
シャーロック・ホームズのライヴァルたちとして、20世紀初頭に書かれた作品なので、内容は若干古いが面白かった。
コーヒーショップに現れ、新聞で話題になっている事件を勝手に話す、名前が明かされない老人と、単なる聞き手役の新聞記者ポリー・バートン。今ではよくあると言えばよくあるトリックだけど、どの話も短編ですぐ終わるし、推理を全くしないで聞くだけのミスバートンと同様、老人の推理に妙に納得させられるのが心地よい。誰からも依頼されるのでもなく、一人で事件を見つけて一人で解決して、自分で納得するだけで、去ってしまう隅の老人のいさぎよさがよい。最後のオチは「山伏地蔵坊の放浪」の解説でネタばれされていたが、それはあんまり関係なかった。最近の作品ではよく使う手だし。