ちょっと前に読んだ本
- 作者: 北村薫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/03/12
- メディア: 文庫
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ホラーとファンタジーが入ったミステリ短編集というべきか?北村薫の百物語的はホラーはそんなに好きでないし、「白い朝」や「蝶」にはピンとこないが、タイトルの「紙魚家崩壊」と「死と密室」のこてこての探偵と助手の安心感。トリックは全く面白くないが、両手が恋をする助手の描写に北村薫らしさがある。
「新釈おとぎばなし」は前置きが長すぎて、興ざめ。こういうのは鯨統一郎のように書かないと面白さがない。
熱烈なファンと思われる解説の人の「蝶」の深読みが気持ち悪い。北村薫ならありうるが、読者としてはこのレベルの短編集は楽に読みたい。
- 作者: 有栖川有栖
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/01/28
- メディア: 文庫
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火村と作家アリスシリーズ長編。傑作「孤島パズル」を思い出させるが、あれは江神と学生アリスシリーズだった。解説に学生アリスシリーズをあまり書かないのは、学生が殺人事件にたくさん遭うのはリアリティがないという記述があって、なるほどと思った。
冒頭はなかなか面白くて、興味をそそられる。間違って訪問してしまった無人島にある1軒の館。意外な登場の仕方の闖入者。
この物語の魅力は、飛ぶ鳥を落とす勢いの企業経営者のキャラクターであろう。ホ○エモンをモデルにしたらしいが、アニメやミステリを海外に売って、日本文化を広めることによって、日本を防衛するという愛国思想はなかなか面白い。
後半は犯人探しも解決も凡庸で取り立てて、ミステリとしてはいまいちだが、小説としては面白かった。