最近読んだ本

わが身世にふる、じじわかし (創元推理文庫)

わが身世にふる、じじわかし (創元推理文庫)

今もっとも信頼している作家。芦原すなおの作品に、今の年齢、今の精神状態で出会えたのは、ラッキー池田。というか、誰からも勧められたわけでもなく、本屋でふと手にして読み始めただけなのに、我ながら引きの強さに感心する。文学方面の情報はあまり積極的に追わないようにしているので、今何がベストセラーとか全く知らないが。

「ミミズクとオリーブ」「嫁洗い池」に続くシリーズ第3弾。

NY帰りの河田からの事件が多くて、もう少し違うパターンも読みたい気もするが、四国の郷土料理と、相変わらずやる気のない作家の主人公と勘のよい奥さんが登場するだけで和む。

世間はGWでもどこにも行かず、家でゴロゴロする主人公は俺かと。写真や絵を見るだけで、そこに行く妄想をすることができる主人公の特技は、俺と全く同じ。わざわざつらい思いをして、狭い飛行機の中で何時間もかけて、旅行をすることを考えたら、家の中にいて旅行気分を味わえるので、ローコストローリスクで最高のリターン。

奥さんの料理と推理もあいかわらずすばらしい。事件の設定やトリックに若干無理がある部分もあるが、雰囲気に癒されるので、細かい点はどうでもよい。

雪のマズルカ (創元推理文庫)

雪のマズルカ (創元推理文庫)

珍しく女性が主人公。ハードボイルドな女探偵。
「月夜の晩に火事がいて」のふーちゃんも同業者として登場。
元保母さんが自己トレーニングを積んだとはいえ、男の強い相手に勝ってしまったり、銃の扱いがうますぎるのがご都合主義的な要素があるが、会話の妙があり、暗い話でもなぜか癒されてしまうのは、作家の文章力のせいか?